技術や技法が約100年以上の歴史を持ち、一部地域で産業として成立しているものを「伝統的工芸品」と呼びます。
砥部では焼き物に適した土が産出したこと、燃料である赤松が多いこと、登り窯に適した傾斜地があったことから、古くから焼き物が盛んに作られていました。町内には6~7世紀のものとされる須恵器が大量に出土しています。
古い歴史を持つ「伝統的工芸品」砥部焼をよりよく知るには、砥部焼が育ってきた土地を訪れることも大きな楽しみの一つ。
また実際に現地に足を運ばないと見ることができない作品もあります。
大型作品
白潟八洲彦が轆轤師として生涯テーマにしてきた1メートルを超す迫力のある大型の作品は地元でしか見られないものです。ここではそのいくつかをご紹介します。
飛行機で松山空港に降り立つと、えひめ三美神というモニュメントが空港ビルのすぐ東にあります。成形は白潟八洲彦、彫は酒井芳人、絵付は中元竹山です。
手作りの温もりがある砥部焼の町・砥部町は松山市の郊外。清流とほたる、砥部焼とみかんで有名なのどかな里山です。まず、砥部焼の全体を観たいと思ったら、各窯元の作品が一堂に会する
ミュージアム・砥部焼伝統産業会館がおすすめです。
入り口に八瑞窯 白潟八洲彦の作品があります。
館内に入ると白潟八洲彦が成形、竹山窯の初代中元竹山さんが絵付けをした作品「山水染付絵大壺」があります。
ロビーには、白潟が制作した、ろくろ作りとしては日本最大と言われる砥部焼の地球儀「生命の碧い星」が飾られています。スイス・ジュネーブの国連欧州本部に寄贈された高さ1.6メートルの地球儀です。
轆轤体験
実際に轆轤と絵付けの体験をしたいと思ったら、砥部町陶芸創作館でもできます。
ろくろ成型や色・絵付けでオリジナルの作品を作れるため、子供から大人まで楽しめます。
多少失敗しても、指導員の方が修正してくださるので大丈夫!
実際に砥部焼の土で体験ができます。土は陶石が7割。石だけでは粘り気が出ないから、他の土を入れているのだそうです。焼くと2割小さくなるそうです。
【砥部町陶芸創作館:http://www.town.tobe.ehime.jp/site/sousakukan/】
土は折ったり、曲げたりくっつけたりすることが苦手です。
そうしてみると、白潟八洲彦のカップ&ソーサーは、持ち手が匠のわざによるものだとわかります。
工房を訪れる
五本松にある八瑞窯 白潟八洲彦の工房です。
砥部の感性:自然の中で、ゆったりした時間の流れに身を任す
郷に入れば郷に従え。せっかく都会の喧騒を離れて、美しい自然豊かな砥部の山里へ来たのだから、たまには自分へのご褒美にとっておきの贅沢をすることもおすすめです。砥部ではゆったりと時間が流れていきます。
2012年8月号の家庭画報でも7ページにわたって紹介されたTOBE オーベルジュリゾート。ギャラリー凜のHPの撮影にもご協力いただいたお宿です。
伊予黒毛和牛など、地元愛媛の食材をふんだんに使った料理とお酒好きのオーナーが揃えた美味しいお酒を楽しんだ後は、蝋燭の灯の中でゆっくりとお湯に浸ったり、こだわりの音響で音楽を楽しんだり、ベッドで本を読んだり。
朝は小鳥のさえずりの中で目をさまし、噴水を眺めながら散歩をしたり、デッキチェアでまどろんだり、静かな時間が過ぎていきます。
陶芸家、白潟八洲彦を生んだ自然豊かな砥部の山里。そこで育った人達には研ぎ澄まされた感性が息づいていることを実感するでしょう。
【TOBE オーベルジュリゾート:http://www.tobe-resort.com/】
ギャラリー凜では、伝統工芸品が育まれた土地のことも少しずつご紹介したいと思います。それが作品の魅力の理解に繋がると思うからです。