愛媛県伊予郡砥部町を中心に作られる砥部焼は、約230年の歴史を持つ陶磁器です。砥部焼の製作工程とお手入れ方法について簡単にご紹介します。
砥部焼の工程・流れ
陶石採掘と採石場
砥部焼の原料は、地元で取れる安山岩が陶石化したものです。現在は主に、上尾峠産の粗面岩質安山岩から採掘されています。
粉砕精製(製土工場)
陶石を細かく砕いて坏土(焼き物の原料)を作ります。石だけでは粘り気が出ないので、一部他の土も入れて「坏土」作りを行います。砥部では昔ながらの杵づきも行われています。
土錬
土練機を使って陶土の硬さを均一にし、空気を抜くことで粘り気を出します。土錬以降の作業は窯元で行われます。
成型・削り仕上げ
手びねり、ろくろ成型などの技法で坏土を均一にしながら、形を作っていきます。熟練が必要となる仕事で、成型後は生乾きの状態で削ったり、サンドペーパーで磨いたり、レリーフや模様を入れたりと少しずつ仕上げていきます。
乾燥・素焼き
窯の余熱や天日を利用して乾燥させていきます。その後窯に入れ、8時間~10時間かけて約900度~950度で焼いていきます。
下絵付・施釉・本焼き
手描きで呉須(※1)などで文様を描いていきます。下絵付が終わった後は、その下絵付したものに釉薬(※2)をかけます。
(※1)呉須:酸化コバルト、マンガン、鉄などを含む天然鉱物の顔料。焼成法により青色に発色したり、黒みを帯びたりする。
(※2)※釉薬:陶磁器の表面を覆う薄いガラス状の被膜のこと。「うわぐすり」「ゆう」とも言う。陶磁器に色や質感を与え、丈夫で汚れにくくする。
本焼き
約1300度で15時間~25時間かけて本焼します。
砥部焼のお手入れ法
砥部焼は磁器の仲間になるため、使用前の煮沸処理は不要です。また、市販の洗剤・漂白剤は使用できますので、お手入れも簡単です。
使用後の食器洗いの際は、砥部焼は丈夫な器ですが、中にはデリケートな作品もございますので、できるだけ手洗いをおすすめいたします。
この機会に伝統工芸の技が光る逸品を日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。