紅型染 作家 阿部遼さんの作品作り
阿部遼さんは若いながらも日本伝統工芸展などたくさんの公募展に入選されている新進気鋭の作家です。
阿部さんは神奈川県の出身です。
若い時に沖縄へ出かけた旅行で紅型染に出会い、神奈川県の自宅に戻ってから、独学で型絵染の勉強を始めました。
神奈川県の著名な型絵染作家、岩井香楠子先生に学んだ後、沖縄にて紅型組合後継者育成研修、沖縄県高度工芸技術者養成研修を修了し、独立。 紅型の技術や大切な考え方を金城昌太郎先生に学びました。
そのため、型絵染、紅型両方の特徴が出る個性溢れる作風です。
図案はとても緻密ですが、その図案は、子供の頃の楽しい思い出に基づく物です。植物が好きで、森で遊ぶことが大好きだった阿部少年。 誰でもが子供時代の思い出に持っている、昆虫採集や花摘みなどの楽しい記憶を紅型の図案にして、身につける人が楽しい気持ちになれるような作品作りをすることを大切にしているそうです。作品名は「リュウキュウバライチゴの実る野道」「森の恵み」「畦道の眺め」「春風呼ぶ小道」などストーリー性が高いです。
大学時代は建築を志し、デッサンを学んだため、それが現在の緻密な図案制作にも生きています。 下絵に基づき、手作りのナイフでその図案を一気に掘り上げて型紙を作り、染料、顔料で染めます。
繊細な線で描かれた阿部遼さんの作品は美しく、伝統的なビビッドな色の紅型染より色合いがずっと優しく、光を感じます。観る人を明るく、幸せな気分にします。