山田 聡子のギャラリー凜(北名古屋市)

草場一壽陶彩画美術館@佐賀

かねてから訪れたいと思っていた佐賀県武雄市の山里にある草場一壽陶彩画美術館

を訪れました。
特急が停車する武雄温泉駅からレンタカーで15分位走ったでしょうか。

事前に予約をして、私一人だけの貸切状態。

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美術館は草場さんの生家で、古い立派なお宅。
草場さんのお姉様が丁寧に解説してくださり、ピアノの音色が流れる中で、草場さんの陶彩画と添えられた文章を一つ一つ静かにゆったりと鑑賞させていただきました。

最高に至福なひとときでした。

草場一壽さんの作品を拝見するのは私は初めて。
以前からネットなどで作品を目にすることはありましたが、
機会があれば、草場さんの育った地元で拝見したいと思っていました。

実際、実物は、写真で観るのとは全く違います。 しかも、ご実家でです。

幼少時から「命の営み」に興味をもっておられたという草場さん。
作品には草場さんの宇宙観が一貫してありますが、
とても穏やかな安らぎの作品と、凄いエネルギーを感じさせる作品があります。

草場さんは私と同い年。
まだ50代半ばで、こんなに穏やかで、まるで僧侶が描いたような癒しの作品をなぜ作ることができるのか私は興味を持ち、
「草場さんはどんな方ですか?仏様のような方ですか?」とお姉さまに尋ねたら、
「草場は、『自分自身がこうした美しい世界を求めているから、描けるんだ』と言っています」と話されました。
なるほど、そうかもしれません。

絵を描く時にはすでに観音様の手や指先など草場さんには観えているのだそうです。
「私たちは3次元の世界で生きているけど、草場のファンの方の中には、草場は6次元かそれ以上の世界にいると言われる方もいらっしゃる。」とお姉さまは話されました。

陶彩画制作初期の作品があり、今の作品と観比べると、進化の大きさに驚きます。
草場さんの凄い努力が垣間見えると思いました。

作品鑑賞後は、お茶菓子をいただきながら、お姉様から、草場さんのこれ迄のご苦労や、お人柄などを聴かせていただきました。

窯元ではないご実家で生まれ育った草場さん。
大変温厚なお父様と、どちらかというと感情がストレートなお母さまの元で育ち、草場一壽さんはどちらかというとお母さまタイプだそうです。
現在の陶彩画の礎となるアイデアをもって佐賀県有田の窯元を訪ね歩くも、理解を得られず、最後に訪れた世界的に有名な葉山有樹氏が理解を示して受け入れてくださり、葉山氏の下で研究を始めたそうです。
たった3年後に「自分の独自の世界を追求しなさい」と葉山氏に言われて、独立。
1990年、これまでの有田焼の常識では考えられない色彩表現に成功。

制作活動を始めるも、画廊では工芸品だと言われて相手にされず、一つ一つ作品を自分で売り歩いたそうです。
なかなか売れずに、貧乏で、家族を前に「もうダメだ」と話されることもあったそうですが、
最後の可能性にかけたら、チャンスがあり、お客様に作品を買っていただき、制作活動が続けられたそうです。

草場さんのすごいところは、制作と、販売の両方を一人ですることだとお姉さまが話されました。
そして、記憶力が抜群なのだそうです。
神話の中のいろいろな神様の名前も一回聞いたら忘れないそうです。

いろいろなお話を聴かせていただくうちに、時が経つのを忘れ、気付いたら2時間半以上経っていました。

今回、草場さんの作品を拝見して、
私も草場さんのように一つ一つ丁寧に仕事をしていこうと改めて心に誓いました。

草場さんの新作個展は
名古屋のナディアパークにて11月2日から、
東京の銀座清月堂画廊にて11月15日から20日までだそうです。http://www.imagine-koubou.com/event/index.html

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