海外で注目されている日本の伝統工芸品

伝統的工芸品とは

「伝統的工芸品」とは伝統的工芸品産業の振興に関する法律(「伝産法」)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいい、以下の条件を満たしているものです。

  1. 日常生活で使用されるものであること。
  2. 製造工程は手作業が中心であること。
  3. 100年以上の歴史を有し、伝統的な技術・技法により製造されるものであること。
  4. 主な原材料が原則として100年以上継続的に使用されていること。
  5. 一定地域である程度の規模があり、地域産業として成立していること。

伝統的工芸品には、織物、染色品、陶磁器、漆器、木工品・竹工品、金工品、仏壇・仏具、和紙、文具、石工品、貴石細工、人形・こけしなどがあります。意外と私達の回りには地域の伝統工芸品がいろいろとあります。

しかし、近年、生活様式や生活空間の変化、大量生産品の普及、 海外からの輸入品の増加などにより、手作りで小規模生産の伝統的工芸品はあまり身近な存在ではなくなってきています。実際に伝統工芸品産業を取り巻く環境は年々厳しくなっているともいわれます。

一方で、近年改めて、日本の伝統工芸は海外から注目を浴びています。

フェンディやグッチといった海外高級ブランドが漆塗りや刺繍を取り入れたハンドバッグを販売したり、古くからジャポニズム(※1)に造詣が深く、ロゴのモノグラムは日本の家紋からインスピレーションを得たという「ルイ・ヴィトン」は、輪島塗とコラボレーションした小物箱の逸品を発表しています。アメリカの老舗シューズメーカ「CONVERSE」は、輪島塗独特の艶のある朱色や漆黒を表現した作品「オールスターワジマ」を作りました。京都西陣織もディオール、シャネル、ルイ・ヴィトンなどとコラボしてホテルのインテリア産業に取り組むなど、数々の取り組みが行われています。カラオケ、マンガ、柔道、華道、盆栽など海外で人気の高い日本文化や、オリンピック効果と相まって、ジャポニズムの再来があるかもしれないと思わせるほどです。

(※1)ジャポニズム~日本の文化・様式の影響を受けたヨーロッパの美術・工芸や文化の表現方法~
ジャポニズムは、1850年代にパリで日本から輸入した陶磁器の詰め物に北斎漫画が見つかったことがきっかけだといいます。
嘉永年間、黒船来航により様々な商船が来日し、当時の写真技術と印刷技術が伝わり、日本の様子が西洋に広く知られるようになったことが始まりとしてあるとも言われます。

 

海外から見た日本の伝統工芸品の魅力とは何でしょうか?

伝統を守りながら続いてきた歴史深さ

伝統を守りながら続いてきた歴史深さ

観光で日本を訪れる外国人の中には、各地域の伝統工芸品=ジャパン・クオリティを探し求める方も少なくありません。日本の伝統工芸品は刀や陶芸、織物、と種類も幅広くありますが、そのどれもが大量生産ではなく、長年の歴史と伝統を通じて、職人さん達によって技術とデザインを受け継がれた丁寧で美しい作品です。作品の柄・文様など意匠があったり、花鳥風月を題材にしたもの、四季を映し出したものも多いです。
御所の織匠でもあった藤林家には、正倉院柄など、古くから伝わる図柄、紋様を使った織物も多いです。

工芸品の繊細さや品質の高さ

工芸品の繊細さや品質の高さ

日本の伝統工芸品はデザインや作りの繊細さ、品質の高さが海外から高く評価されています。陶芸は人の手で土を成形し絵付を行い、原材料や技法にこだわって複雑な工程を経ており、仕上げまでに手間と時間がかかっています。

着物や帯などの織物も同様で、素材、図柄や文様、染、織すべてがとても細かな作業によるものです。手先が器用な上に、勤勉な仕事ぶりを発揮する日本人の匠の技が作り出した作品だからこそ品質の高さを誇ります。

ジャポニズムの作品

クロード・モネ 「ラ・ジャポネーズ」
1867年パリにおいて第二回万国博覧会(国際博覧会)への日本の美術工芸品(浮世絵、琳派、陶磁器など)出品をきっかけにヨーロッパ、とりわけイギリスとフランスに《日本趣味》と呼ばれる日本美術愛好熱が広まりました。印象派と呼ばれる画家達には、色彩面で多大な影響を与えました。中でもゴッホによる『名所江戸百景』の模写やクロード・モネの着物といった作品は有名です。

オールドバカラ

「ジャポニズム」のオールドバカラ。(京都井村美術館所蔵)象牙を真似して作られたものです。日本の美術工芸品のヨーロッパへの影響の大きさに感心します。