山田 聡子のギャラリー凜(北名古屋市)

萬古焼、清水醉月先生のこと

 

 

 

 

 

2022年の年明け早々、中日新聞に、萬古焼(三重県、四日市)の「醉月陶苑」清水醉月先生が大きくご紹介されたと、奥様のきし代様から嬉しいご連絡をいただきました。

清水醉月先生、きし代様、おめでとうございます。

 

醉月先生の最近のご活躍ぶり

 

平成28年G7 伊勢志摩サミット”晩餐会および総理大臣夫人主催夕食会にて醉月先生がきし代様と制作された酒器が使用されました。 令和2年度地域文化功労者文部科学大臣表彰「芸術文化」部門、また昨年4月は、瑞宝単光章と受章が続き、一方で、高名な料理家、熊谷喜八氏と、器と料理のコラボレーション食事会を開催されたり、スイスの高級時計、「フランクミュラー」とのコラボレーションをなさったり、そのご活躍ぶりには実に目を見張ります。 

 

 

お正月の新聞記事「新しい風」欄に醉月先生がトップバッターで取り上げられることは何の不思議もありません。

 

清水醉月先生のこと

 

お祖父様が始めた家業の窯業。焼き物の中で育った醉月先生は、高校時代に自分の作品が県の美術展に入選したことがきっかけで、陶芸が面白くなり、父親の元で修行をされたそうです。 私が、さすがだなあと思うのは、ご自分ならではの技術、作風を若い時から探し求められたと言う点です。

 

伝統を元に新たな「オンリーワン」の技術を求めて

 

石材店を営む友人のところで墓石の文字入れなどの石材加工に「サンドブラスト」という技法を使っているのを見て、その技法を陶芸作品に応用することを思いついたそうです。

 

サンドブラストとは、コンプレッサーを使って、加工したいものの表面に細かい砂などの研磨剤を吹き付けて凹凸を作ることで表面処理、装飾、彫刻を施す技法です。 石材の他、鋳物、陶磁器、ガラス工芸品などに使われます。 私もかつて米国でステンドグラスを習っていた時に、サンドブラスト技法を使って模様を彫っていました。

 

吹き付ける砂の勢いが強いと器が割れる為に、醉月先生は吹き付ける勢い、砂の粒子の大きさなど試行錯誤の調整を重ね、急須などの陶磁器にサンドブラストで凹凸をつけて模様を描くことに成功されました。

 

芸術的な完成度を追求された醉月先生は、器を焼成する前に刃物で模様を削る萬古焼本来のやり方ではなく、焼成後にサンドブラストを施すことで、サンドブラスト凹凸部分の色が、削られていない本来の地肌の色と変わり、模様を浮かび上がらせました。 鉄分を含んだ土に釉薬をかけずに焼く器は「紫泥」と呼ばれていますが、紫泥の器にサンドブラストを施すと、色の違いがハッキリして効果的なのだそうです。

先生は技術の向上に研鑽し、1988年の日本伝統工芸展入選を果たされました。

 

金やプラチナで色付けした部分をマスキングし、サンドブラストで彫って模様を付けた華やかな作品が私は好きです。こうした作品はヨーロッパでも評価が高く、注文が入るそうです。

 

 

 

(写真は昨年工房を訪問した時に撮影させていただいた作品です。)

 

 

新たな挑戦

 

喜寿を過ぎ、更に円熟の輝きを放つ醉月先生は、今、また新たな試みに挑まれています。

昨年、私が先生を訪問した際、先生はいろいろな要職を全て終えられたと話されていました。これから新たな目標に進まれるおつもりでしょう。

 

その新たな目標というのは、十九世紀以降に四日市で独自に発展し、四日市を焼き物で有名にした萬古焼の伝統技法、「木型萬古(きがたばんこ)」の再興だそうです。木型萬古は、いくつかの部材を組み合わせた木製の内型に土を張り付けて乾燥させ、を抜き取り成型する技法で、かつて急須作りに用いられました。 量産できる「ろくろ」が普及すると担い手が減少し、今や木型萬古の急須はほとんど作られていないようです。

 

この地に生まれた初代醉月が木型を使って急須をつくり始めたのが醉月陶苑の始まりだそうです。醉月先生は、常に新しい技法を模索しながらも、伝統を大切にする「萬古不易」の思いを大切にして、今一度醉月陶苑の原点に戻り、ていねいに作品をつくり続ける姿勢をこれからも一貫して貫かれることだと私は思います。

 

常にご夫婦二人三脚、そして潤さん、潮さんご子息達と家族一丸となって仲良く活動されている先生らしく、人々にご家庭で家族の団欒のひとときに急須で入れた美味しいお茶を味わってもらいたいというのが先生の願いだそうです。

 

醉月先生ご夫妻のご活動には家族仲良く真摯で温かいお人柄、常に枠を持たず向上心を抱いていらっしゃる姿勢が表れていて、私はお話を聞かせていただく度に学びをいっぱいいただきます。これまで数々の偉業を成していらっしゃった先生がこれから先、どんな高みにいかれるのか、楽しみでなりません。

 

今年も清水醉月先生のご活動から目が離せません。ワクワクしながら先生の作陶を追わせていただきます。

いつか近い将来、先生ご夫妻とアメリカかヨーロッパで個展ができるといいな。先生と私の共通の夢の一つです。

 

 

 

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