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萬古焼 醉月窯の急須

前回に引き続き、萬古焼 醉月窯さんの急須の話を書きます。

美味しいお茶を飲みたいと思っている私は、兼ねてから茶葉にあったお湯の温度が大切だと思っていましたが、急須選びもとても大切であることを今回学びました。

紫泥の醉月窯さんの急須で淹れるお茶はとても美味しいのです。私はコーヒー党からすっかり日本茶党に変わりました。日本茶党になったら、お客様のおもてなしには、季節感溢れる和菓子選びの楽しみも増えました。

閑話休題。

醉月窯は、「温故知新」、今の流行言葉でいうなら、「伝統と革新」の姿勢で、「萬古不易」をモットーに萬古焼の伝統を大切にし、昔の技法を復活させたり踏襲しながら、新たな技術を開発して急須作りをなさっています。

江戸時代に萬古焼を再興した古物商、森有節さんが考案したくるくる回る蓋の摘(つまみ)を醉月先生も復活されています。
「舞つまみ」というそうで、構造が複雑で手間がかかるようです。

とても高度な技ではないかと思うのですが、遊び心があって、とても素敵だと私は思います。
千秋さんが作ったように、醉月先生は取っ手に遊環(ゆうかん)をつけた急須も作られます。

萬古焼の特徴は、大和絵の花鳥の絵を艶やかな粉彩絵の具で描いたことだと、先のブログにも書きましたが、この絵の具は、不透明で、重ね塗りや盛絵ができます。醉月窯の奥様、清水きし代さんはとても華やかで美しい盛絵を描かれます。

古来から伝わる伝統技法に加え、新たに開発したサンドブラスト技法を使っているのも、醉月窯の特徴です。

更に・・・素晴らしいと思うのは、見た目も美しい手作りの茶こしの部分。茶葉でフィルターが詰まる経験、よくありますよね。茶こしはお茶を注いだときに、茶葉が出ないようにするフィルターの役割です。
胴の部分に小さな穴を開けただけの急須もあり、それでも茶葉のフィルターの役割は果たしますが、醉月窯の急須のように内側に丸く膨らんでいると、表面積が広くなり、穴の数も増え、茶葉で穴が塞がることも少なくなります。美と実用を兼ね備えて、見えないところにも丁寧な仕事をなさる醉月窯さんだと思います。

スウェーデン生まれの日本茶インストラクター、ブレケル・オスカルさんによると、、おいしくお茶をいれる為には、初めて急須を買い求める場合は、陶器と磁器の中間に位置する“炻器(せっき)”のものがおすすめだと言います。

“炻器(せっき)”とは、通常、焼締(やきしめ)と言われる半磁器、つまり陶器と磁器の中間的性質の焼き物です。長石(ちょうせき/鉱物)を多く含んだきめ細かな粘土を11001250度の高温で焼いたもので、まさしく萬古焼は、愛知県の常滑(とこなめ)焼と並んで、代表的な炻器の一つです。陶器とは異なり吸水性がほとんど無く、安定してお茶をいれられます。また、細やかな焼締の肌目(表面)がお茶の渋みや苦みを吸着するので、お茶がとてもまろやかになります。冷めにくく、湯温が割と安定します。表面の肌理が細かいから、長期間使い込むと艶が生じ、それにより美的価値も上がるとされます。

醉月窯の清水潤さんは、「茶渋は付くものです。基本的に洗剤で洗ったりしませんので付いていきます。その為に使用するたびに景色が付いて愛着のある品に変化していきます。どうしても綺麗にしたい方は、キッチンハイターで綺麗になるとは思いますが・・・」と話されます。

日本茶が美味しく淹れられないと思われる方はもちろん、ぜひ、皆様に一度、醉月窯の急須でお茶を飲んでいただきたいと思います。

そのまろやかな味わいに、日本茶のファンにきっとなることでしょう。

江戸時代に説法しながら煎茶を売り歩いた売茶翁(黄檗宗の僧で煎茶の中興の祖と言われる)は、どんな急須を使っていたのだろう?萬古焼かもしれないな、、、と想像を膨らませ、ワクワクします。

下の写真の急須は私が愛用する私物です。

蓋のつまみがくるくる回る「舞つまみ」です。

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