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May 20, 2016

長谷川等伯展(5月29日迄)

長谷川等伯展(5月29日日曜日迄)を観に、石川県七尾美術館に行きました。

JR七尾駅までは、行きは名古屋から京都、金沢経由で行き、

帰りは七尾から金沢、米原経由で名古屋へ帰着。片道4時間半弱の旅でした。

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七尾美術館は高台に建つ変わった形の建築物です。

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長谷川等伯(1539~1610)は、能登七尾出身で、桃山画壇に大きな足跡を残した絵師です。

七尾美術館では、学芸員の北原さんにお会いして、解説をしていたただきました。

北原さんは、十二代藤林徳扇先生の作品を観ていただいたことがご縁です。
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北原さんのお話によると、七尾は山が七つの尾根を持つことが地名の由来だそうです。

元々古代の能登国能登郡の地で、国府や国分寺が所在する能登国の中心。戦国時代には能登畠山氏が七尾城をつくり、7代目義総の代には、全盛期を迎え「畠山文化」が栄えました。

その後、守護大名畠山氏が1577年上杉謙信により滅ぼされ、代わって織田信長に仕える前田利家が能登全域を収めました。(その後利家が七尾から金沢に移り、中心が金沢に移ります。)

そのように、古代から能登の中心で、城下町であった七尾では、寺や城の殿様を施主として芸術が開花し、古くから京都と文化の往来が盛んだったと推定されるそうです。

武士の奥村家に生まれた等伯は、染物屋として仏画等も描いていた長谷川宗清(1507~71)の下に養子にいきました。 宗清の父無分(むぶん)は雪舟とその弟子等春の流れを汲み、京都で絵を学んだと言われます。

無分を養祖父に持ち、養父、宗清の下で等伯は絵の腕をあげ、20代前半には信春と名乗ります。

等伯自身も10~20歳の頃から京都を往来していた可能性が大きいと考えられます。

(等伯は、雪舟ー等春ー無分ー宗清ー等伯という流れで、雪舟の五代目だと自ら名乗りました。)

例えば、等伯の作品は、20代の前半と後半で作風が変わり、20代の前半はやや暗い感じであるのに対し、20代後半は華やかになりました。

父の下で学んだ20代前半と京都へ出た影響を受けた20代後半が作風の違いに表れたのではないかと言われます。

また、養父母を亡くした33歳で、等伯は京都へ移るのですが、30歳を過ぎた地方の人間が京都で仕事をすることができたのは、それまでに京都での縁があったからではないか、と考えられています。

今回の展覧会で、とても興味深かったのは、粉本(ふんぽん)によると思われる各絵師の絵です。

粉本とは、元々、東洋画で胡粉(貝殻から作られる炭酸カルシウムを主成分とする顔料)を用いて描いた下書きの事で、転じて、先生の絵を手本とするために模写した絵画のことをいうそうです。

展覧会では、長谷川派の複数の絵師による「涅槃図」が展示されていました。

宗清の作、等伯の作、等伯の弟子である等誉の作、長谷川派の誰かの作。

4作品とも構図や描かれているもの等そっくりで、粉本だと言われます。

それぞれの作品に共通項が色濃くあり、そしてその上に各絵師のオリジナリティーが加えられていて、絵師の個性が出ている点がとても面白いと思いました。

粉本には「達磨図」もありました。等伯筆のものと、等伯4番目の子供、長谷川左近のもの。

同じ達磨でも、等伯のものはひげや眉が一本一本丁寧に描かれ、一方着物の線は太く勢いがありますが、

左近の作はユーモアがあり、琳派的な、デザイン的な要素があります。

(余談ですが、「だ~るまさん、だ~るまさん、にらめっこしましょ」と歌いますが、インドの王様である達磨は9年間洞窟で壁に向かって座禅を組んでいたところから、「にらめっこ」と言われるようになったと学芸員の北原さんが教えてくださりました。)

等伯の作品は、当時には珍しく動物、しかも家族やつがいの動物が描かれ、どこか愛くるしさがあります。

「牧谿猿」は、毛がふさふさしていてとても可愛らしいです。

そうしたところに等伯の人柄が偲ばれます。

慶長15年、等伯72歳の時に等伯は、果敢にも徳川家康から江戸に呼ばれ下向します。

狩野派と対抗して、長谷川派の命運をかけた一大決心だと思われますが、

決して若くはない33歳で上洛したことと言い、72歳で江戸へ下向したことと言い、常に前向きに生きていた等伯を感じずにはいられません。

今回の展覧会鑑賞をきっかけに

長谷川等伯という絵師がぐっと身近に感じるようになりました。

丁寧に案内をしていただいた北原様、どうもありがとうございました。

また、長谷川等伯の絵を観に石川県立七尾美術館を訪れたいと思います。

長谷川等伯の詳しい情報はこちらに載っています。http://nanao-art-museum.jp/?cat=13

もうひとつ余談ですが、

もちろん、お昼に海鮮丼も食べました。

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